親の老後のお金の話って、切り出しにくいですよね。
縁起でもない、と思われそうで。お金目当てだと誤解されそうで。私もずっとそうでした。
今日は節約術の話ではありません。先日、65歳の母とお金の話をして、母が泣きそうな声で「背中を押してもらえた気がする」と言ってくれた。その記録です。
同じように、親の老後が少しずつ現実味を帯びてきた方に読んでもらえたら嬉しいです。
一人暮らしの母が、住み替えを考え始めた
私の母は65歳。30年以上勤めた職場に再雇用してもらい、今も現役で働いています。今はマンションに一人暮らし。
ただ、子供たち(私を含めて3人)はみんな母から離れた場所に住んでいます。一番近い兄弟でも車で2時間以上。私にいたっては県外の静岡です。
そこで少し前から「近い将来、今のマンションを手放して、子供たちの近くの賃貸に住み替える」という話が出ていました。私も以前から「こういうことは早めに準備しておくといいよ」と伝えていて、最近、母は実際に賃貸物件の情報を見始めたようでした。
ここまでは順調。よかったね、で終わるはずでした。
「思ったよりお金がかかるかもしれない」と不安げな母
先日、母と話していると、少し元気がありません。聞けば、物件情報を見ているうちに不安になってしまったとのこと。
母が今の職場で働けるのは、長くてもあと数年。賃貸に住み替える頃には、収入はほぼなくなります。だから予算は年金の範囲で考えたい。でも、その予算で探すと──
今より部屋が狭い。トイレもお風呂も狭い。
「思ったよりもお金がかかるかもしれない」
長年働いて、家族を支えて、65歳になった母が、最後の住まいのために「我慢する部屋」を探している。その姿に、なんだか胸がぎゅっとなりました。
私が母に伝えたこと
そのとき、私はこう伝えました。ほぼそのままの言葉で書きます。
「幸い、子供3人はみんな安定した仕事についていて、よっぽどのことがなければ暮らせないほどお金に困ることはないと思う。だからお母さんのお金は、子供に残すことを考えなくていいよ。死ぬまでに全部使い切ればいいと思う」
「賃貸で住む部屋は、もしかしたら人生で最後に住む部屋になるかもしれないよ。それなら我慢せずに、もっとお金をかけて、毎日素敵な部屋で満足して暮らしてくれたほうがいいんじゃない?」
「そりゃあ、私たちにお金をくれるなら嬉しいよ。でも、そのお金をもらうくらいなら、お母さんが我慢せずにいい部屋に住んで、幸せな毎日を送ってくれたほうが、私たちにとっても嬉しいことだと思う」
「そのためにはまず、ライフプランをしっかり考えたほうがいいと思うよ」
お金を残してもらうより、お母さんが幸せでいてくれるほうが、子供としてはずっと嬉しい。それだけの、シンプルな話です。
「背中を押してもらえた気がする」
母はこう言ってくれました。
「思ったよりもお金がかかるかもしれないと不安になっていたけど、そう言ってもらえて、とても気持ちが楽になったよ。背中を押してもらえた気がする。もう一度しっかり考えてみるね」
声が少し明るくなっていました。
親の背中を押せる日が来るなんて、思ってもみませんでした。ずっと押してもらう側だったので。電話を切ったあと、私もじんわり嬉しくて、しばらくその余韻の中にいました。
お金は、何のためにあるんだろう
このブログを読んでくださっている方はご存知のとおり、我が家はかつて「削る節約」で失敗しています。食費を月5万円台まで切り詰めて、家の空気がギスギスして、何のために節約しているのか分からなくなった時期がありました。
そこから学んだのは、お金は我慢するための道具じゃなくて、家族が幸せに暮らすための道具だということ。
母への言葉は、実はそのまま、過去の自分に言いたかった言葉なのかもしれません。
ただ、ひとつだけ現実的な話も。「使い切ればいい」と言っても、老後は医療や介護など、想定外にお金がかかる場面があります。だから無計画に使っていいという意味ではなくて、備えるべき額をちゃんと計算した上で、残りは自分の幸せのために堂々と使う。そのために「まずライフプランを考えよう」と母に伝えました。不安の正体は、たいてい「いくら必要か分からないこと」だったりします。
さいごに
今日が一番若い日。
それは30代の私たちだけじゃなく、65歳の母にとっても同じです。これから住む部屋で過ごす毎日が、母の人生でいちばん若い日々になる。だったら、我慢の部屋より、お気に入りの部屋であってほしい。
親のお金の話は切り出しにくいけれど、「残さなくていいから、幸せに使って」という伝え方なら、お互いに温かい気持ちで話せるかもしれません。我が家の場合は、そうでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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